Reports活動レポート

VHA発足者インタビュー

イベントレポート2026.04.07

Vision Hacker Association(以下VHA)は、これまで多くの仲間が集い、挑戦を重ねてきました。その原点にある想いを、発足の中心となったお二人に伺いました。

(左)葉田甲太氏 (右)太田旭氏

 

――まず、VHAの発足動機をお聞かせください。

太田さん: 私はVHAの前身である「Vision Hacker Award」で事業の企画推進を担当していました。期間限定とされていたその枠組みが無くなってからのこと、葉田さんが何気なく普段から話していることは、自分がVHAに注ぐ思いと同じであると気づいたのです。「だったら一緒にやろう!できるよ!」と盛り上がり、コーディネーター(以下CD)や事務局も馴染みのメンバーを中心に、再結成する形で復活することができました。

前身の「Vision Hacker Award」では対象領域がグローバルヘルスに特化していたのですが、葉田さんと話す中で、「国内でソーシャルインパクトをと励む人のことも応援したいよね」となり、「Vision Hacker Association」では国内外の垣根を取り払うことにしました。

葉田さん: これまで僕は医師として臨床に携わった後、さまざまな課題に向き合いながら事業を進めてきました。その過程で、医療者の視点から専門的な議論をすることもあれば、社会課題に取り組む立場として行政や政治の方々と意見交換をする機会もありました。また、企業の役員として事業を前に進めるためのプロセスや判断軸も学び、ビジネスとしてのインパクトの出し方、海外支援やNPO活動で培った現場感覚など、多様な視点を得ることができました。

さらに、公的な応募に挑戦する人たちとのやり取りや、逆に制度に対して否定的な立場の人との議論も一通り経験してきたので、そうした“現場の温度感”も分かるつもりです。ただ、こうした経験は自分が特別だったからではなく、偶然のご縁や環境が重なって“奇跡的に”できただけだと感じています。普通はどこかで詰まってしまうものだと思うんです。

だからこそ、せっかく熱い思いを抱えているのに、どこかで立ち止まってしまう人たちを支援したいという気持ちがあります。その思いが太田さんの考えと自然に重なり、VHAの立ち上げにつながりました。

太田さん:国内外の医療や教育の現場で、たくさんの課題やニーズと隣り合わせだった我々がタッグを組めば、医療・ヘルスケア領域の専門家としての経験知見はもちろんのこと、メンターやCDの力を借りて〝セクターを超えた幅広い領域・分野での協働ができるのでは〟と感じたのです。これは、数年前まで医療ヘルスケア領域のど真ん中で真剣に取り組んできた我々だからこそ、「医療」や「栄養」という限定的な領域だけで手繰り寄せられる景色とは、違った景色が見られるのではないか、そう希望を抱いていました。「未着手の宝物がたくさん埋まっているところ」というイメージと言いますか。

 

――具現化されるべくしてなった、という感じで始まったのですね。〝未着手の宝物〟というのは、なんとも、わくわくしますが、誰にとっての宝物でしょう?

太田さん:はい。それは、社会にとっての宝物という意味です。例えばより公平に恩恵を受けられるようになったり、孤独が解消されたり、笑顔が増えたり、辛抱が報われるような、そんなHAPPY、宝物です。

 

――ではここで、今一度、VHAの理念をお聞かせください。

葉田さん: 「Vision Hacker」という名前には、大きなビジョンを掲げ、社会に前向きな変化を届けようとする人、そんな人を応援したいという想いを込めています。国内外や立場の違いにとらわれず、多様な挑戦者が自分のビジョンを実現できるよう、包括的に支援することを理念としています。

太田さん: 例えば、何かを証明しようとしたり、誰かを説得するために数字や理論を並べたりすることがあると思います。社会の顔色を伺いながら、慎重に丁寧に構造を組み直されてのインパクト創出もあるでしょう。ただ、VHAは圧倒的にビジョンドリブンが根底にあります。VHAは思い描いた「まっすぐな未来」を自らのビジョンで描き変えようとする人を全力で応援し合う共創組織です。純粋に「あなたが描いた未来(Vision)をちゃんと大切に、その景色を一緒に手繰り寄せ、描き変えていこう!」という。

 

――これまで実施して来て、発足当初描いたビジョンは実現できていると思いますか?

葉田さん: 一定の成果は見えてきていますが、僕は常に「もっとできることがあるのでは」と考えてしまうタイプなので、まだ伸ばせる余地があると感じています。医療・ヘルスケア領域は公的資金の比重が大きく、新しい挑戦が生まれにくい側面もありますが、だからこそ新たな視点やアプローチが必要だと感じています。僕自身も発足当初から経験を重ねる中で視野が広がり、VHAにもより大きな挑戦を期待するようになっているのかもしれません。

太田さん: 誰も答えの無いようなものを気合いと根性で手繰り寄せまくって来た葉田さんのような人はあまり居ないと思うので、そう感じるのかも知れないですね。

VHAの応募資格の中に、“①自由闊達に未来を描き、次世代の医療ヘルスケアを想像できていて、豊かないのちに溢れる社会へと進化させていく強い意志を持っている”、という点を掲げさせていただいているのですが、「意外と投資家目線でばかり考えてしまって、エンドユーザー目線が欠けていた」とか「意志は強いと思っていたのに、揺れ動く」という事もあります。これは描いたビジョンの想定内だと思っています。ただ、“②固定観念や強いこだわりに囚われず、アソシエーションのメンバーとして、他者の助言に耳を傾け、協力・学び合いを惜しまず、柔軟に自らを変えていくことができる”という点に関しては、格好をつけてしまったり、他者の意見を聞くのが辛い!と、耳を塞いでしまうようだと、プログラムの良さを生かし切れていないのでは、と勿体なく感じることがあります。だからと言って逆に、相手の状況や意思に関係なくコメンテーターさながら意見を吐き散らかすような場にもなって欲しくないですし、毎年運営側もステークホルダーとコミュニケーションをとりながら、場づくりへの創意工夫は真剣そのものですね。

――では、どのようにVHAを進化させていきたいですか?

葉田さん: 今後は、より幅広い領域の挑戦者が集まる場にしていきたいと考えています。多様な背景の人が交わることで、新しい価値が生まれるはずです。採択者の方々から感謝の声をいただくことは、運営として大きな励みになっています。

また、VHAは企業のCVC(Corporate Venture Capital:相乗効果が見込める未上場のスタートアップ企業に対する自社資金による出資や支援のこと)のような投資目的ではなく、「その先にいる誰かを救いたい」という想いを中心に据えています。そこは今後も大切にしていきたい部分です。

太田さん: この数年で他の起業家支援スキームやアクセラレーションプログラムが出てきています。社会全体で捉えると、支援体制が強化され多様な角度でのサポートが実現できる世の中になってきているということ、とても喜ばしいことだと思っています。これからに関しては、変わりゆく社会に最適化する形で、VHAはVHAの良さを大切にしながら意図を持ってポジショニングしていきたいですね。葉田さんがいうように、今後もしもテーマやフェーズや支援金額などの枝葉の部分が変更になる場合があったとしても「未来を描き変える熱意と気合とビジョンを大きく掲げた人を、本気で応援し合う共創組織」ということは変わりないかなと思っています。

葉田さん: 運営側の苦悩はさておき、採択者から毎年感謝の声をいただけることは、本当に励みになっています。

太田さん: 本当ですね、毎回のアンケートの結果にも励まされます。中長期的に見て、どんなタイミングでどう開花するか分からない採択者のコミュニティともいえるので、いつまでも長くあるVHAだからこそ、時にまた集いながら、そこで出逢った仲間たちと一緒に日本や世界をリードするような、アントレプレナーになってもらえたらという想いはありますよね。その場所を作り続ける、それが自分達の役割なのだろう、と思っています。

葉田さん: もっと言うと、究極的には起業家そのものよりも、その先にいる「救われる誰か」の存在を大切にしています。そこがVHAの根幹だと思っています。

太田さん:いつも葉田さんがそのスタンスだからこそ、起業家から「こんなにも自分と同じ熱量でもって、一緒に力になりたい相手のことを考えてくれるメンター陣は他にいない」と好評なのでしょうね。これからもよろしくお願いしますね、葉田さん。

 

――VHAにエントリーされる方へメッセージを聞かせてください。

葉田さん: あなたが「救いたい」と思う人は誰なのか。その理由は何なのか。そこに真剣に向き合う覚悟がある方を、僕たちは全力で応援します。あなたが描く未来がより輝くよう、必要な視点や学びを一緒に考え、伴走していきます。まっすぐにビジョンを掲げる方に、ぜひ応募していただきたいと思っています。

太田さん: 企画当初のこと、医療・ヘルスケア領域の起業家ニーズを調査すると、この領域での起業家仲間や相談できる相手と知り合いたいという内容が最多だったことを思い出しました。VHAでは、Webサイトに掲載のメンター陣も、学べる内容(特別講義)も毎年採択者に合わせて追加やカスタマイズをしています。たくさんの仲間がここにいます!採択されたみなさまには、我々の全力応援がついてくるので、気合いを入れて申し込んでください!

PROFILE

葉田甲太氏、太田旭氏

プログラム・支援内容

 

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