Reports活動レポート

VHA選考委員インタビュー

イベントレポート2026.03.06

毎年、5名の選考委員の方々による厳正なる審査により採択者が選出されるVHA。どういった事を大切にしながら選考しているか今回は2名の選考委員の方にお話を伺っていきたいと思います!

(左)葉田甲太氏 (右)坂元 晴香氏

ーーVHAに関わることになった経緯を教えてください。

坂元さん:事務局から熱烈オファーを受け、引き受けました。

ーーVHAのどういうところに共感して引き受けられたのでしょう?

坂元さん:グローバルヘルスは、国際機関やJICA、NGOなど、既存の機関で働くことをキャリアとして目指す人が多いのですが、Vision Hacker Associationの挑戦者は自分で新しく組織や事業を立ち上げて取り組もうとすることに惹かれました。

ーーご自身のキャリアのどのような部分がVHAで生かされていると感じますか?

葉田さん:これまでのキャリアは、全部活かされていると思います。私は、NPOも行政のことも、また、医者、医療の話、そしてビジネス化という面においても、オールマイティでやって来たため、すべてにおいてアドバイスができます。起業家はでこぼこで、0点や30点のところがある人が多いので、そういう部分を全部引き上げられていると思います。また、そうした人が100点を目指したい時は適任者に引き継がせていただくこともできます。

ーー故に、VHAの企画・主催である「公益財団葉田財団」の代表理事ということですね。坂元さんはいかがですか?

坂元さん:私はビジネスの経験が無いので、ビジネス面でのフィードバックはできませんが、医療的バックグラウンド且つ、行政の経験と国際保健の経験の掛け合わせ、アカデミアな分野で上手く補完できているのではないかと思っています。VHAでは国内の医療や福祉の問題を取り上げる事業も増えて来ています。医療や介護事業は公共性が高いためビジネスとして利益を潤沢に生み出せないことも多く、そのような場合に国や自治体の仕組みにどのように乗せていけば良いのかフィードバックできているのではないかと思います。

ーーでは、審査・選考の際の意気込みやスタンスをお聞かせいただけますか?

坂元さん:良いものを持っている人を見逃さないように気を付けています。プレゼンの上手さと情熱の熱さは必ずしも一致しないので。不器用でも、「なにかを変えたい!」と思っている情熱や意気込みは見逃さないようにしたいと思っています。

葉田さん:覚悟を持っているかどうか見極めるようにしています。 

ーー採択されるまでの選考過程(プレエントリー→説明会→本エントリー→ヒアリング期間→ 書類審査→選考委員会→理事会承認)は、とてもタイトなようですが、全員のエントリーシートを読むのは大変ではないですか?

坂元さん:わたしは負担に感じていません。寧ろ、同じ医療でも、日頃、自分が触れない課題や問題を投げ掛けられ、その解決策を読めることが楽しいです。
葉田さん:事業計画や予算書を読むことは大変ではなく、「なぜ、その人がそれをやりたいのか」という部分を真剣に読んでいるのですが、それが大変です。

ーーエントリーされた方の何を特に見て選考していらっしゃいますか?

坂元さん:どうしてそれを課題に思い、解決したいと思ったのかという「原体験」が大事だと思っています。そこに本人の情熱や意気込みが現れるので。また、自分の事業にどれくらいコミットする気があるのかという覚悟、この二つを見ています。

葉田さん:先ほどと真逆のことを言いますが、ちゃんとエントリーシートに誤字脱字が無く、事業計画書も真剣に考えて書いてあるか、その人なりのベストでちゃんと記載されているかを見ます。

ーー今の等身大で考え抜いているか、をご覧になっているのですね。「原体験」は、必ずしも当事者ということで無くても、「なぜ、そう思ったか」という自分の体験が明確にされているか、をみなさん注意深くご覧になっていらっしゃるのですね。選考過程でのポイントはお聞きしましたが、最後の決め手となるポイントはなにかあるのでしょうか?

坂元さん:“なぜVHAなのか?”という問いに答えられるような、VHAに向けた個別のエントリーシートになっているかどうかですね。どこの助成金募集にも使い回しできそうなシートではなく、どうしてVHAなのか、このプログラムで何をしたいかが明確になっている方の方が、VHAのリソースを有効に活用してもらえると思うので。

ーー他にも「人柄」という点を重視して選考されていると伺っていますが?

坂元さん:そうですね。お金さえ付けてくれれば良いという方ではなく、いろいろなフィードバックや経験を積みながら、自分自身も事業もスケールしていきたいという柔軟さや素直さが滲み出る人柄だと決め手になりますね。そこは、強く情熱と信念を持つことや、ブレないということと両立し得るところだと思います。たまに、事業について自分が誰よりも分かっていると思うあまり、第三者の声を素直に聞けない方もいて勿体ないなと思います。

ーー葉田さんの選考の最後の決め手も教えていただけますか?

葉田さん:何回も応募される人は採用したくなりますね。一度、不採択でも諦めず、パワーアップさせて来期、更にはその次の期、と挑戦して遂に採択されたという方もいらっしゃいます。 

ーー次に、審査・選考で難しさを感じることはありますか?それはどんな時でしょうか?

坂元さん:採択候補者で似たような点数になった際、最後にどのポイントを重視するかが難しいです。正解が無いことなので。これまで述べて来たような要素を持ち合わせている方は上位で採択が決定されますが、情熱は持っていても事業計画がデコボコの方は、選考委員それぞれ優先するものが違うので難しいところです。情熱はあっても事業計画に不安があるような人などは、軌道修正可能として採択すべきか、もしくは、違うデコボコ具合の人を採択すべきか悩ましいですね。

ーー「軌道修正可能な人」となると、やはり先述の「柔軟性のある人柄」というところがポイントになるのでしょうか?

坂元さん:自戒も込めて、医療分野の人たちは保守的な人たちが多いので、「ビジョンハッカー」という概念に立ち返って、突拍子もなかったり、コンセプトに不安が残っていたとしても、突き抜けるのではないかという可能性に賭けることも大事なのでは?とも思うんですよ。

ーーこういう時、葉田さんならどうしていますか?

葉田さん:私はそういう時、選考委員全員の納得感を得られるまで話し合うようにしています。そして、最後に統合するよう努めています。

ーー他の助成金や審査などのご経験が多数あると思いますが、お二人が思う「選考におけるVHAならではのポイント」は何だと思いますか?

葉田さん:「応援しようとする人たち(コーディネーター、メンター、運営協力メンバー)」が多軸で本気だということ。究極のお節介集団ですね。半年先に視点を合わせず、金銭面などの詰めが苦手だとしても、コアな想いやケアが長けているかを選考で見て、将来的な社会的インパクトにおけるスケールの可能性を評価している点です。

坂元さん:他の助成金と違い、本人の想いに重きを置くことが特徴的ですね。「将来大きく成長しそう」というポテンシャルに賭けているところが大きい特徴だと感じます。他の助成金は、「確実なステップを踏めるか」という点に重きを置かれることが多いと感じます。未来の可能性を重視しているところが選考していて面白いところだと感じています。

葉田さん:他のスタートアップ支援などは半年後の成長を念頭に置いていますが、VHAは10年後の社会に裨益する活動を応援しているんですよ。

ーー「やり切れるのか」ということを重視しつつも、これまで「事業が遂行されなかったこと」もありましたか?

葉田さん:辞めた方もいるし、事業内容をピボットした方もいました。当初、自分が描いていたやり方が違うと気づいてまったく違う事業計画に変えることにしたり、起業家ではなく、誰かのサポートをする方が自分には向いていると気づいて、方向転換した方などがいらっしゃいました。

坂元さん:「やらなくても良い」というように捉えて欲しくないのですが、VHAを通じて事業計画を大きく変えたり辞めた方もいることは事実ですし、それも一つの形だと思っています。事業のあり方や解決したい社会課題に対し、どう向き合うのが一番本人の持っているポテンシャルが活かせるかということを、VHAを経験したことで考え抜いた結果、違う方向性を目指したということなのだと思います。

葉田さん:そういう方々は、どこかすっきりした顔になっていて、応募した時よりパワーが溢れているようでしたよ。

ーーこれまで不採択となった方は、どのような方だったのでしょうか?

坂元さん:〝舐めている〟と感じる人ですね。自分の力を過信して、片手間でできると思っていたり、大前提に書類がちゃんと書けていないとか、AIを使って書いたものをそのまま提出しているとか、課題の捉え方も、必ずしも当事者である必要はないけれど、「社会貢献したい欲」を満たすために、困難な人を利用しているような人は、舐めているなと感じます。社会課題を解決することは、本当はそんな簡単だったり単純なことではないので。そういう方は、不採択としています。

葉田さん:募集要項をちゃんと読めていない人や、行動が伴っていない人。あと、ものすごいイデオロギーが強そうな人とかも不採択にさせてもらっています。

ーー「イデオロギーが強そうな人」というのは、どのような時にそう感じたのでしょう?

葉田さん:マーケットとフィットしていないのに、開発した技術を過信していてプロダクトアウトすることが目的になってしまっているような方が過去にいらっしゃいました。そういう方は柔軟性や素直さに欠けていると感じます。

ーー主催側としてVHAが目指すゴールとは何ですか?

葉田さん:より公正な社会で、人が幸せに暮らす土台となる「不幸せを減らすような課題」を解決する起業家が増えること。

坂元さん:ビジョンハッカーの文字通り、行動力や突破力があって、小さくても社会の課題を解決していける人を育てていくことが目指すところだと思います。一人で壮大なことはできないと思いますが、課題を解決できる人を増やしていけば、社会がより暮らしやすくなると思うので、そういう人たちをたくさん生み出して行けば良いなと思います。

ーーVHA卒業生がどうなってくれたら良いと思いますか?

葉田さん:VHAを忘れて、自分のビジョンに突き進んで結果を出して欲しいですね。裨益者が幸せになることを目指して欲しいです。

坂元さん:突き抜けて欲しいですね。ビジョンに共感してくれる人を巻き込んで、突破するための仲間を見つけて、より大きなビジョンを実現できるようになって欲しいですね。

PROFILE

葉田甲太氏 坂元 晴香氏

https://vha.jp/program

 

 

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